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コラムの「6.紡木さんがお友達と夢中になったこと」で、紡木さんは、同じ漫画家の聖千秋さんと友達であり、宿泊して尾崎豊さんのコンサートへ行く仲であったことがわかりました。 ここで、話題を少し脱線させて、聖千秋さんについてお話させて頂きたいと思います。 その昔、紡木さんの「ホットロード」や「瞬きもせず」を別冊マーガレットで毎月楽しみに読んでいたみなさんにとって、 当時の別マの思い出は何でしょうか? 私は、紡木さんの作品に限らず、あの頃の別マで連載していた漫画すべてが毎月楽しみでした。 ♡当時別マを飾った漫画家♡ 多田かおるさん いくえみ綾さん くらもちふさこさん 槙村さとるさん 宮川匡代さん 佐野未央子さん 斎藤倫さん 藤村真理さん ほかにも、安積棍子さん、和田尚子さん、名取ちずるさん、などなどなどなど・・・ いくえみ綾さんの絵って途中から奥田民夫っぽかったなぁ、とか、佐野未央子さんのキャラって耳大きかったなぁとか、 思い出したら、すごく読みたくなってきました。 今でも大活躍されているかたも多いなか、多田かおるさんの悲報を今年知ったばかりの私は、 非常にショックでした。 そして今でも活躍されている聖千秋さん。 聖千秋さんは、最近、「別マのムードメーカー」だったのでは?と思うときがあります。 前記のコラム・6がきっかけで私は再び聖千秋さんの作品が読みたくなりました。 そして古本屋で聖さんの過去の作品を数冊入手。 なつかしい思いがツーンとこみあげてきました。 ■【イキにやろうぜイキによ】 扶桑学園の象徴で下町のアイドル・苫子さんが一目惚れしたのは、同級生の峻平ちゃん。 女ッ気のまるで無い、ボクシング好きな魚屋の息子。 「あの苫子さんに好きな男が?!」と学園全体が揺れる。 当の峻平ちゃんは苫子さんに興味が無いようだ。 そんな感じで始まる【お祭りコメディ】シリーズ。 ここまで書いて思い出したことがあります。 以前、紡木さんの「ホットロード」を真似たのでは?と盗作疑惑のドラマがありましたが、この「イキにやろうぜイキによ」もどっかで見たことがあるようなシチュエーション・・・。 そう、数年前の松嶋奈々子主演のドラマ「やまとなでしこ」に良く似てるのです。 「やまとなでしこ」では主人公はスチュワーデスでしたが、 「美しく高嶺の花のごとき女性と下町魚屋の息子のラブストーリー」という設定はまさにそっくり。 しかも、地主で大金持ちの御曹司Bという別の男が、主人公の女性に恋する、という設定も一緒。 漫画では”小松君”、ドラマではそのキザな御曹司役を東幹久が演じていました。 しかも、Bの父親の会社が企む土地開発計画によって魚屋にも立ち退きの話が。 だがBの計らいで立ち退きは免れる・・・、とまぁ「やまとなでしこ」は「イキにやろうぜイキによ」に良く似ています。 訴訟問題になどなりませんでしたが、そっくりだと気付いた人は私だけじゃないはず。 さてここからが本題です。 聖さんの漫画には、私的なネタが豊富に織り込まれていて、とくに「イキに」シリーズはそんな笑えるシーンも豊富。 例えば、聖さんが大ファンである中日ドラゴンズネタは特に豊富で、峻平ちゃんがドラゴンズのTシャツを来ているせいで、苫子の父親(広島カープファン)と乱闘騒ぎになったり、 好きな選手の話題が盛り込まれていたり。 また聖さんがこれまたファンとされている吉川晃司ネタもところどころに。 また、車の免許を取る予定の峻平に、苫子が「くれぐれも車庫入れの時 思いっきし後ろぶつけないよーに」と言うと、 突然窓から作者面々が「呼びました?」と登場し、苫子らに笑われると、「なにがあははだっ 家が傾いたんだぞっ!」と叫ぶシーンなど。 ところで先ほど私が「聖さんが別マのムードメーカーだったのでは」と書いた理由には、 当時の漫画家さんのネタも非常にたくさん織り込まれているからです。仲が良い漫画家友達が多い証拠。 紡木さんのローマ字コメントの数どころではありません。 しかもかなり露骨に、はっきりと(笑)。紡木さんの場合は、背景にローマ字で書くなど、ストーリーには影響の無い書き方をしていましたが、聖さんの場合は会話にまで登場させていました。本当に楽しいシーンが多いのです。 一番多いネタは多田かおるさん、次にくらもちふさこさんの話題でした。 しかし”ひじりまにあ”管理人koguwaさんから、「紡木さんのネタもありましたよ」と以前聞いたのを思い出し、探してみました。 ・・・聖さん、面白すぎます。 「イキにやろうぜイキによ」は本当にイキだったのです。 まずこちら。
苫子の親友・みどりが片思いしてる男の子・小松君へのはっきりしない思いに、いらいらする苫子とキヨコが「もう、はっきりしなさいよ!」とハッパをかけるシーンです。 この前のコマには、 「私達にいえない複雑な理由でも・・・」 「ちっ違うわよ!ただ・・・、ただかおる」 というシーンや、 「じゃやっぱり小松が好きなんだ」 「もちろっ・・・もち・・・くらもちふさこ」 というシーンがあります。この程度のギャグは聖さんにとってはもはや朝飯前?! 次に、東京ドームへ峻平たちがボクシングの試合を見に行くというシーンですが、画像左端の垂れ幕に・・・。
おわかりでしょうか。 東京ドーム横の映画館で上映されている、映画「瞬きもせず」。 ちなみに隣に書いてある「夜に浮かぶ銀の箱船」は芳成かなこさんの漫画。 「ミーハーパラダイス」は多田かおるさんの漫画。 「海の天辺」はくらもちふさこさんの漫画 です。 「瞬きもせず」は”シネマ2”での上映らしい・・・、ううっ!観てみたい! 極めつけはこれ。
プロボクサーを夢見る峻平に、願ってもないチャンスが。 山口県にある有名ボクシングジムからうちで頑張らないかとスカウトがあったのだ。 いよいよ最終プロテストを目前に控えたある日、峻平は山口行きを辞めて魚屋を継ぐと言い出した。 ボクシングよりも大事なものがあることに峻平は気付いたのだ。 下町のみんな、魚屋、オヤジ、そしていつも自分を見ていてくれた苫子という女性を・・・。 ライバルであり同期の鎌仲がそれを知り、「二人でボクシング界を変えようって言ったじゃないか!」と峻平に山口行きを説得するシーンである。 もちろん、「イキに」シリーズの中に”かよちゃん”という登場人物はいない。 そんな重要なシーンなのに、聖さんは・・・。 聖さんのユーモアセンスには脱帽です。 私だってかよちゃんに会えるなら山口、行きたいっす!!! ここは紡木さんのファンサイトなのでこういった取り上げ方をしましたが、作品的にも【イキにやろうぜイキによ】は名作だと思います。 特に苫子さんや峻平ちゃんの性格の良さと、作品全体に広がる暖かい感覚、そしてなんせ峻平ちゃんは”イキ”過ぎる!!! かっこいいにもほどがあるほどかっこいい。最後まで、苫子に好きだの愛だの言ったりしません、そう一度も。 それでもココ一番という場所ではキメてくれる峻平ちゃんは、終盤で苫子の父に「苫子さんを下さい」と言い放つ。か、かっこよすぎる! 唯一、それらしき告白は、プロボクサーをあきらめ魚屋を継ぐ決意をもった峻平が苫子の父親に、 「その夢を失っても彼女は失いたくない。夢はこわれたんじゃなくてこれから二人でつくればいい」と言うシーンのみ。 私は紡木さんの作品に出会っていなければ、この歳になっても少女マンガを読む事はなかったかもしれません。 それほど少女漫画には無知な私ですが、でも聖さんの作品、特に今読み返す「イキに」シリーズは大好きな作品です。 笑いあり、感動あり。泣きどころ満載。 あの頃に別マ世代じゃなかった、私よりずっと若いかたも(^^;)、機会があったらぜひあの頃のノスタルジックな世界にひたってみてはいかがでしょうか?
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