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 (つづき)

■6・”有明で”・・・
 

12月19日 in郡山。
何もいえない。もう、何もいえない。
苦しいくらい、苦しいくらいです。
陽気なサンタさんへ。
私はあなたにどんなX'masプレゼントを贈れるでしょう・・・
ひじりのもみよ 



 「ホットロード」第2話に書かれたローマ字コメントから、
 紡木さんは、福島県まで宿泊しながら2回もコンサートへ行くほどの尾崎豊ファンであり、
 同じ尾崎ファンであろう聖千秋さんと友達であることがわかりました。(前ページ参照)

 そして先日、当サイト訪問者のK@KO様からお寄せいただいた情報にまた驚くものがありました。
 紡木たくさんのもう一つの代表作「瞬きもせず」にも、
 紡木さんが尾崎ファンである事を裏付けるローマ字コメントがあるというのです。
 それは、漫画冒頭の、紺野君がかよ子を学校の踊り場に呼び出し、告白するシーンの脇にありました。
 (瞬きもせず MC第一巻 24ページ。)

             ” DEAR 富江 30th.ARIAKE DE ”


 直訳すると、「富江へ。30th 有明で」となります。
 実はこのコメントも以前から気にはなっていました。ですが私はてっきり、
 おそらく紡木さんのお友達であろう「富江」さんの30才の誕生日を有明で祝ったものなのだと、
 これまた勝手な解釈をとっていました。
 当サイト掲示板にK@KOさんからの投稿を見るまでは・・・。

 K@KOさんの情報によると、
 1987年、尾崎豊さんは "TREES LINING A STREET "ツアーで全国を回っており、
 その8月29日・30日と有明コロシアムでコンサートを行っているというのです。
 そうです。「富江へ。30th 有明で」の”30th”は、「30才」ではなく、「30日」だったのです。
 
 「瞬きもせず」は、1987年の別冊マーガレット9月号から連載を開始しています。
 ということは、別マの発売日が12日もしくは13日であることから、1987年8月12日(13日)にこの9月号が
 発売されていることになり、有明コロシアムのコンサートよりも前に発売されている事がわかります。
 その点から、このローマ字コメントは、

           ” 富江へ。8月30日、有明コロシアムのコンサートでね!(会おうね) ”

 という意味を持ち、”富江さん”が別マを見てから、有明で紡木さんと会うというタイミングにうまくマッチし、
 いわば”富江さん”へ向けた手紙だということがわかりました。
 K@KOさんからこれらの情報をお寄せいただき、私はあらためて、
 紡木さんが熱烈な尾崎ファンであることを実感しました。

 

※(以上、情報提供者:K@KOさん)
(ありがとう♡)



■7・エピローグ
 


 紡木さんと尾崎さん、どちらも好きなファンの間では既に有名な話だということですが、
 今回のことで私が初めて知ったことがあります。
 「ホットロード」の冒頭の1シーン。
    和希はクラスの友人と万引きをして補導された。
    帰宅すると、そこには彼氏との幸せな誕生日を過ごして帰宅したママがいた。
    補導されても迎えに来てくれないママ。和希は一言イヤミをはなち、自分の部屋へこもる。


 そのシーンで、和希の部屋の壁に貼られたとても大きなポスター。
 そのポスターは、まさしく尾崎豊さんだったのです。

 

参考:
■左:「ホットロード」第一巻18ページより
著者 紡木たく/発行 集英社 1986年12月21日第1刷
■右:尾崎豊3rdアルバム「壊れた扉から」1985.11.28
© 尾崎豊 /CBS Sony
(写真は2001.4.25に再リリースされた CDです。©sme)



 そこに描かれていたものは、まぎれもなく尾崎豊さんメジャー3作目のアルバム
 「壊れた扉から」のレコードジャケットでした。
 ということは和希は、尾崎ファンであったという設定なのでしょうか。
 また、「ホットロード」より前の作品である「机をステージに」に登場する高屋恵(たかやめぐみ)
 という男の子は、今思うと尾崎豊さんにとてもよく似ています。
 そしてその「机をステージに」のコミック本”マーガレットコミックス”の表紙カバーを折り返した部分には、
 尾崎豊さんにそっくりな男性がマイクを唇につけて歌う横顔がデッサンされているのです。


©紡木たく/集英社 マーガレットコミックス 「机をステージに」


 もしかしたら、「机をステージに」という作品自体が尾崎さんに贈った”手紙”なのかもしれません。

 


■あとがき

 じつは、私が音楽に目覚めたのは遅く、今まであまり尾崎豊さんを知りませんでした。
 そして今になって、既に遠い存在の尾崎さんに興味を惹かれるとは思ってもいませんでした。
 「I LOVE YOU... 今だけは 悲しいうた 聴きたくないよ... 」と唄う、
 尾崎さんの歌、【I LOVE YOU】のイントロが今、頭から離れません。
 この曲を聴くと、「瞬きもせず」の後半で、山口と神奈川、離れ離れになったかよ子と紺野君を
 思い出すからです。あのイントロをきくと何故か涙腺がゆるんでしまいます。
 紡木さんと尾崎さんの詩の世界には何か通ずるものを感じます。
 活躍していたあの頃の尾崎さんに出会っていたら。出会っていたかった。
 
 今回、いきなりメールを出したにもかかわらず、とっても丁寧なお返事をくれた、
 聖千秋先生のファンサイト【ひじりまにあ】の管理人、koguwaさんに
 この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
 本当にありがとう♪koguwaさんのおかげでこのページを作ることができました。
 私も当時、別マで聖さんの作品を毎月楽しみに読んでいました。
 ”吉川晃司”に似たクールな主人公が印象に強く残っています。
 また、大人っぽくて素敵な女性を描かれる先生だと思いました。
 聖千秋さんは現在も現役の漫画家として大活躍されていらっしゃいます。
 学生時代に別マで聖さんや紡木さんの作品を愛読していたかたも、
 また、今回興味をもたれたかたも、ぜひ【ひじりまにあ】に遊びに行ってみてくださいね。


Special Thanks♡
 聖千秋先生(非公式)ファンサイト ”ひじりまにあ

http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Brush/2937/
 

- コラム6・終 -
 
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