■ 「これからもずっと」
中学の女番長・遠藤薫の家に入り浸る、学校では不良と呼ばれる仲間たち。
いづみは、仲間と一緒にいるときが一番幸せだった。
ある日、仲間の一人である勇次が、校内のアイドル”あやちゃん”とつきあう事になった。
以前から「あやちゃん好き」を公言していた勇次が、本当にあやちゃんを彼女にしたのだ。
仲間でつるんで遊んでいた時が一番だったいづみにとって、それはなんだか寂しい出来事だった。
ある日、そのあやちゃんが他の男といる現場を目撃され、みんなに責められる。
「だって寂しかったの、犬井くん、あたしじゃない人みてる・・・」
あやちゃんに自分の胸の内を見透かされた気がした勇次だが、あやちゃんを傷つけた自責の想いからか勇次がいづみに接近するような事はなかった。
勇次が仲間のたまり場である薫の家に近づかなくなって数日がたつ。
「どうしてこのまんまじゃいられないの?
なんでみんないっしょじゃいらんないの?
何で将来のことなんか考えなくっちゃいけないのぉ?
このまんまでいたいのに」
勇次に向かって泣き叫ぶいづみ。
「これからもあそぼーぜ
これからもいっしょにあそぼーぜっ、
なー?いづみ」
泣き崩れるいずみを抱える勇次。
中一の時、初めていづみが勇次に話し掛けた道がある。
「ねぇねぇこの先ってさーずっと行くとどこ行くの?」
「知んないそんなの。車とったらつれてってやんよ」
その道には、今も変わらず放課後に集い遊ぶ勇次たちがいた。
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