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瞬きもせずにその瞳が見たもの。
~山口県庁、「瞬きもせず」への願い~



”今から16年も前の、平成元年の夏ごろ。
日本テレビ系列の長寿番組「ズームイン朝」にて、 「瞬きもせず」が取り上げられた。”


そんな情報を寄せてくださったのは、当サイト開設初期から遊びに来てくださっている、 紡木作品を愛するかずっちさんでした。


紡木さんの作品がTV番組に取り上げられた事をまったく知らなかった私は、
さらにかずっちさんからその詳細を教えて頂き、非常に感動しました。
その全てを余す所なくお伝えできればというかずっちさんのご厚意のもと、 その番組の詳細を以下にまとめてみました。





映像は、日本テレビスタジオの福留キャスターと、山口にいるリポーターとの2元中継から始まります。 リポーター
「観光地でも何でもない普通の通りなんですが、 漫画と同じ光景が山口市内に彼方此方にみられました。」

そして漫画のワンシーンと現地の映像が交互に映ります。

















リポーター
「これらは全て県庁職員の人達が勤務時間外に足で調べたという事なんですね。」








福留
「なるほどね。さぁ、どうなんでしょう。山口は。」


リポーター
「しかしですね、県庁の人達はこれらを決してふざけてやっているわけではないんです。
山口県は昭和60年を契機にしまして、ここ数年毎年どんどん人口が減少しているんです。
これは特に若者の故郷離れが原因と言われているんです。
そこでなんとか若者に故郷に留まって欲しい、帰ってきて欲しいということで 例えば県が山口県出身者に故郷通信を送ったり、 東京を核にUターン相談コーナーを催してまた今回の若者交流を盛んに行われているんですが、 効果はこれからといったところなんです。
そこで、この漫画も是非この運動の一つにと考えたわけなんですね。」



福留
「なるほどね~。」










男性A
県のイメージアップにですね、使わない手はないということで すぐあの、紡木たく探偵団を急遽、結成いたしまして。」


男性B
「いい所がわかるように漫画の中でも出して欲しい」

(若干聞き取り不明)





リポーター:
「~で、県庁の人達が考えている具体的な方法というのは、
県が主催する作品展だとか、とにかく山口をPRしていこうということです。
ところが最近困った事が起こったんです。










主人公の恋人・芳弘が、東京で就職が決まってしまったんですね。」


福留
「あっはは~・・・」



リポーター:
「ま、これはなんとか留まってくれはしないかということで要望することも考えているそうです。
ま、若者に留まって欲しいということで始まった発想なんですけれども、 なんとか成功してほしいなと私は思うんですけれどもね。 いかがでしょうか。」



福留:
「そうね~、なんか悩みがわかるなぁ。
でも、県の人もけっこう若い人がんばってるね。」



リポーター:
「そうなんです。なんとか帰って来て下さい。」




ここで映像は、中継からスタジオに戻り終了します。







以前、当サイトのBBSにて、こんな話を山口にいる知人から聞いた、との投稿をいただきました。


 >>山口県の方から紡木たくさんに
 >>山口を舞台にした漫画を描いてほしい
 >>って頼んだっていう噂?があったそうです。



もしかしたらこの噂は、この番組を見た人の記憶が影響しているのかもしれませんね。


ただし厳密にいえば、番組の内容を見る限りは、 描いて欲しい=企画段階から県が関わった、のではなく、 別マでの連載を県庁職員のかたが後に知ったうえでの企画ということになっています。


しかし中盤からの展開には、もしかしたら山口県庁からの依頼も反映されていたいのかもしれません。


この件については、 この番組情報を当サイトに提供してくださったかずっちさんからも、 以下のようなコメントを頂きました。


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「全くは否定できないような気もしなくないです。
かといって肯定を断言できる要素も見つかりません。
ですが、神奈川県出身・在住で今までずっと横浜or湘南を舞台に描いてきた紡木さんが、 「なぜ山口県なのか!?」という疑問はずっと私の中で消えないのです。
それに作品では山口市に限らず下関市も描かれています。
また、かよ子たちの通う「豊央高」のネーミングの由来を考えた時、 山口県に"豊"のつく市が多いという事実が偶然には思えなく、 また「宇和」という作品中の地名も、山口に実在する「宇部市」とリンクしているように思えます。
さらには小郡市や防府市など、物語全般にわたり山口県全土各地が描かれているように感じるのです。
そんな点からも「山口県からの依頼~」説もまったく可能性が無いとは言い切れないと思うのです。」
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結末は、県担当者の想いが叶う展開へ。
かよ子が待つ山口に紺野は戻ることになります。


番組の中盤にある「なんとか留まってくれはしないかと、県から要望することも考えている」という発言がもし実現されていたとすれば、 番組放送後、県が出版側に連絡をとっていたかもしれません。


ただ、私は思うのです。


紺野くんが山口に戻るという結末は、 たとえ県庁からの依頼が反映されていようといまいと、 紡木たくさん本人の、揺ぎない意志によって描かれたものに違いないと。


作品の全編に描かれているのは、眩しいほどに忠実に描かれた山口の景色。
漫画を通して私たちは、紡木たくさん本人の瞳が見た、
山口という舞台への深い思いを感じ取らずにはいられません。


いつか私も、同じように作品の舞台・山口に立ち、 息をこらし、この目で実際の山口を体感してみたい、そう思いました。


【瞬きもせず】。
このタイトル5文字に込められた意味は、かよ子でも紺野のものでもなく、
紡木たくさん本人の瞳が、瞬きひとつしないで見つめていた、山口という土地への想いなのかもしれません。
(2004.5.29)




自分の生まれたところで

生きることは

全然逃げでも何でもないと

あいつの声を聞いてて思ったっちゃ


俺は 精一杯

故郷あっち

あいつを大事にしていきたい

――「瞬きもせず」MC最終巻150ページより




Special Thanks♡Kazucchi-chan.
Thanks photo: chierin.







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